一見すると
落ち着いて、と言っている。
安心させようとしている。
心配しないで。全部うまくいっている。
本当の意味
誰が言うかによって、かなり変わる。
本来、stai sereno はイタリア語でもかなり安心感のある表現だ。
問題がある? Stai sereno.
何か失敗しそうで心配? Stai sereno.
誰かに足元をすくわれそう? Stai sereno.
そして、イタリア人にとって問題が始まるのはまさにここだ。
イタリア史の小さな事件
2014年1月、民主党書記長になったばかりのマッテオ・レンツィは、当時の首相エンリコ・レッタを公の場でこう安心させた。「Enrico, stai sereno.」
意味は明快だった。誰もあなたの座を奪うつもりはない、と。
ところが1か月もしないうちにレッタは辞任し、後任にはレンツィが就いた。
その瞬間から、stai sereno は完全には「穏やか」な言葉ではなくなった。
使われ方
もちろん今でも、本来の意味で普通に使われる。「Stai sereno、僕がやるよ。」 心からの安心材料であることも多い。
問題は、誰も安心させてほしいと言っていないときだ。
「Ciccio, stai sereno.」
はい。これでチッチョはもう安心できない。
この言葉には今や小さな集合的記憶がある。念を押しすぎる安心は、正反対の効果を生むことがある。
「心配するな」と強く言われるほど、何を心配すべきなのか気になってくる。
読み解く鍵
イタリアでは、言われた内容だけを聞いてはいけない。なぜわざわざそれを言う必要があったのかも考える。
「Tranquillo.」
たぶん大丈夫。
「Stai sereno.」
一応、注意しておこう。
「Ciccio, stai sereno.」
誰かが何か知っている。
「Ciccio, stai sereno. Fidati di me.」
チッチョ、履歴書を更新しよう。
サバイバル・ルール
イタリア人に 「Stai sereno」 と言われたら、安心していい。
もう一度言われたら……少しだけ警戒しよう。
