一見すると
お礼。しかもかなり熱烈な。
本当の意味
誰かが「正しいけれど、言うまでもなく当たり前」なことを得意げに言った時に使う。
「早く出れば、早く着くよ。」Grazie al cazzo. 感謝しているのではない。その発言の情報価値を採点している。
しかも相手の内容には完全に同意している。そこが問題なのだ。
場面
BED Talk。赤いステージ、黒いジャケット、静まり返る観客。18分のストーリーテリングの末、講演者が真理を告げる。「結果を出すには、行動しなければならない。」
拍手。ソクラテスが復活したかのように頷く人。あなたの頭には一言だけ。Grazie al cazzo.
フロイト先生、ごめんなさい
イタリア語では cazzo が驚くほど多用途だ。無価値、無知、強い否定、苛立ち、他人の事情など、前置詞と声量次第で何にでもなる。
フロイトを呼びたくなるが、国民全体を診断する必要はない。一つの身体部位が副詞、形容詞、否定、評価尺度にまで進化した事実だけで十分だ。
読み解き方
この表現が測るのは、発言の荘厳さと実際の有用性の距離だ。凡庸なことを大発見のように語るほど威力が増す。
これは「当たり前」に対する庶民のファクトチェック。間違いだとは言わない。もっと悪い。「言う必要がなかった」と言うのだ。ここまで説明したこと自体が、Grazie al cazzo.
